フランシス委員会報告書(ABCC業績報告書33-59)

総 括


ABCCの研究計画は、目的に対する理解、計画性、主動性、および見通しに欠けるところがあったため、動きのとれない泥沼にはまった感があったことは明らかである。調査を推進する指導性と激励を与える支援を持たなかった。

既に重要な観察が行われており、放射線の影響に関する明確な徴候は現在まだ認められていないが、未解析資料の中には貴重な事実を教えるものが含まれているであろう。もし現在示唆されている寿命の短縮が立証されたならば、その原因となる機序に対する研究意欲が刺激されるであろう。いずれにしても、着想をもって対象群の調査を続行することは、医学、人類生物学および核エネルギーの平和的利用にとって、極めて貴重な知見を提供することとなろう。

この研究計画を強化し、その支援体制を増強する必要があるものと考える。ここに統合研究計画を提案する。それは相互の努力の結集、知見の統合、および資料を遅滞なく解析することによって、一層適切な資料を提供するであろう。また研究に対する刺激の供与、および研究遂行の点からみても好都合である。以上簡単に今後の研究続行計画について示唆を試みた。

委員会は、その利用しうる時間をもってしても、この問題について細部にわたり全面的な検討を加えることができなかった。しかも、資料は自らの努力によって収集する必要があった。

最後に、さらに簡約化した報告書を作成する時間のなかったことを遺憾とする。

 

広島市比治山にて
1955年11月6日

    •  報告作成者
      •   Seymour Jablon
      •   Felix E. Moore
    •   Thomas Francis, Jr. (委員長)

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