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「市民公開講座in広島 ~親の被爆と子どもの健康~」を開催

市民公開講座in広島~親の被爆と子どもの健康~

2024413日土曜日、広島市中区の平和記念資料館東館地下1階メモリアルホールにおいて、「市民公開講座in広島~親の被爆と子どもの健康~」を開催した。

 このたびの市民公開講座は、放影研の被爆二世調査の歴史と新しい技術を活用した今後の調査研究について紹介し、被爆者や被爆二世の方々をはじめ一般市民の皆様に、放影研の被爆二世調査についてご理解いただくことを目的として企画されたもので、会場には約200人が参集した。

 開会にあたり、神谷研二理事長が、「最近のDNAの解析技術の進歩は目覚ましく、網羅的にヒトのDNA全体の解析が可能な時代となり、放影研はこの技術を活用した被爆二世調査の計画を検討しています。一方、DNA情報は究極の個人情報であり、それを用いた調査は慎重の上にも慎重を期する対応が求められ、国際的には倫理的観点、法的観点、そして社会的観点から見て、この調査が妥当であることが求められています。放影研では約9年間を掛けて準備を行い、3種類の外部諮問委員会と地元連絡協議会などを開催し、被爆者や被爆二世の皆様、市民の皆様、有識者や専門家のご意見を伺い計画に取り入れてきました。本日の市民公開講座は、この調査の内容を関係者のみならず、市民県民の皆様にも説明させていただき、ご意見を伺うことを目的として開催させていただきます。」と趣旨説明を行った。

 公開講座では三つの講演が行われ、最初に分子生物科学部の野田朝男部長が「放影研の被爆二世調査の歴史」と題して、これまでに放影研が行ってきた被爆二世の健康に関する調査について講演した。次いで、同部遺伝学研究室の内村有邦室長が「ゲノムシーケンシングを用いた放影研の新たな被爆二世調査について」と題して、ゲノムとは何かといった生物の遺伝の仕組みや、現在検討されている親の被爆と子どもの健康に関するゲノムレベルでの調査について解説した。

次に、広島大学病院ゲノム医療診療科の檜井先生には、「広島大学における遺伝子診療の現状と課題~ゲノム検査における二次的所見と遺伝カウンセリング~」と題して、実際にゲノム医療の現場で活躍されている立場から、医療機関で実施されるゲノム検査とそのカウンセリングの方法など、実際の医療現場の様子についてご紹介いただいた。

 続いて行われたパネルディスカッションでは、野田朝男 分子生物科学部部長を座長に、放影研の外部諮問委員を務めていただいた3名の方々と広島大学病院の檜井先生、さらに、放影研の研究員2名を含めたパネリスト6名により、今回新たに計画されている、親の被爆と子どもの健康に関するゲノムレベルでの調査について、会場から寄せられた質問を含め意見交換を行った。

最後に兒玉業務執行理事が市民公開講座への参加のお礼と、貴重なご意見を頂いたことへの謝辞を述べて、公開講座は終了した。