業績報告書(TR) 21-85

赤血球溶血液の2次元電気泳動ゲルにより日本人集団に観察された電気泳動上の遺伝的変異型

高橋規郎,Neel JV,下市裕子,浅川順一,田中芳子,佐藤千代子

編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。Ann Hum Genet 50:313-25, 1986

要 約
2次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(2-D PAGE)を用いて、100人の日本人の子供及びその両親より得られた赤血球溶血液について、遺伝的変異が調査された。変異型の有無を考慮せずに選定された 55個のポリペプチドが、評価に使用可能であるとみなされた。これらのポリペプチドのうち、14種に遺伝的変異型が観察された。家族調査の結果は、13種の変異型の遺伝様式は常染色体共優性と考えて矛盾せず、また、残りの変異型は伴性遺伝様式を示した。日本人又は白人の少なくともいずれか一方に変異が発見された、多分同一である 8種のポリペプチドのうち 4種には、多形性の発現又は対立遺伝子頻度に差が認められた。若干の研究者の経験に反して、我々の観察した変異の量、及び人種差は、2-D PAGEが、遺伝的現象を調査するための感度の高い技法であることを示している。

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