業績報告書(TR) 2-87

ヒト肺腺癌に対するモノクローナル抗体KL-3およびKL-6:1.反応特異性の検討と胸水中の腫瘍細胞検出への応用

河野修興,秋山實利,京泉誠之,箱田雅之,小武家暁子,山木戸道郎

要 約
ヒト肺腺癌由来VMRC-LCR細胞で免疫したBALB/cマウス由来の脾細胞とマウスの骨髄腫由来NS1細胞とを融合させることにより、KL-3(IgM)とKL-6(IgG1)という2つのモノクローナル抗体を産生した。両抗体共に糖質抗原を認識した。組織切片を免疫組織化学的に解析したところ、KL-3抗体は肺腺癌及び小細胞癌と特に反応し、KL-6抗体はこれらのほかに肺扁平上皮癌とも反応した。両抗体は、その他多くの異なる病型の癌とも反応した。免疫蛍光法により、胸水中の細胞に対しては両抗体が腫瘍細胞のみと反応し、非悪性血球及び中皮細胞とは反応しないことが示された。これらの抗体は、胸水中の腫瘍細胞の免疫組織化学的診断において、臨床的に有用であろうと考えられた。

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