業績報告書(TR) 8-88

心電図左室肥大の進展・退縮と血圧の関係についての検討。26年間に及ぶ長期追跡調査

芦澤直人,瀬戸信二,北野幸英,遠山杏子,佐々木英夫,児玉和紀,細田 裕,嶋岡勝太郎,柴田義貞,橋場邦武

編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。J Am Coll Cardiol 13:165-72,1989

要 約
放影研では、約20,000人の固定集団について1958年以来、2年ごとに検診を行っている。1958-84年の 13周期のうち、11周期以上で血圧測定及び心電図記録の施行されたのは 6,569人であった。放影研における心電図上の左室肥大診断基準(Kagan-Yano Code)を1回でも満たした 601人について検討を行った。同一症例において、心電図左室肥大の進展及び退縮を共に認めたのは 61人(男17、女44)であった。心電図左室肥大の進展の認められた周期における高血圧(境界域高血圧を含む)の割合は、83.3%であった。心電図左室肥大の最も多い進展様式は、高電位差に引き続いてST-T変化の出現する型であった。一方、心電図左室肥大の退縮に血圧の低下が関与しているのは約半数であり、高電位差の消失が最も多い退縮の型であった。

戻る