メイキング・オブ・オープンハウス

オープンハウスは毎年、広島と長崎、別々に実行委員会を立ち上げて企画運営しています。実行委員会は、実行委員長、副実行委員長、実行委員、顧問で構成されます。1月下旬に実行委員長が決まった後、2月にその他のメンバーが決まります。実行委員長を命じられた職員はその重責に誰しもが強い不安に陥ります。各部署と協力してうまく事が運べるだろうか、どうすればたくさんの方に来ていただけるかなど、心配の種は尽きません。

実行委員会は大きく、企画係、運営係、渉外・広報係の三つの係で構成されます。企画係は企画・特別展示、講演会の実施、レンタルパネルの手配など、運営係は当日の受付、休憩所と駐車場の手配・管理、アンケートの作成・集計など、渉外・広報係はポスター・チラシの作成と配布、外部機関へのオープンハウス紹介記事の掲載依頼などを行います。それぞれの係の担当副実行委員長は、係内の業務を取りまとめ、実行委員長に報告し、必要な場合には指示を仰ぎます。

2月中旬、実行委員長は各係の副実行委員長と、基本方針(開催日、今年のテーマをどうするか、予算など)について話し合い、その結果を3月に開催する実行委員会に諮ります。開催日については、たくさんの方にご来場いただくことを考えて、従来は広島・長崎とも平和記念日に合わせて開催することが多かったのですが、来場者のアンケートを見ると、もっと涼しい時季に変えてほしいなどの声もあり、毎年悩みどころとなっています。

実行委員長-副実行委員長会議(長崎:2019年度)

実行委員会(広島:2019年度)

 

企画内容が固まってくると、ポスターとチラシの作成に取り掛かります。作成は広島研究所と長崎研究所が毎年交互に分担しており、デザインも共通のものを使います。今年は長崎が担当でした。チラシは広島と長崎を併せて数万枚作ります。

以下をクリックすると、今年のチラシをダウンロードできます。

広島オープンハウス2019PDF503KB

長崎オープンハウス2019PDF832KB

チラシ・ポスターが完成すると、近隣の学校、病院などに郵送あるいは直接お伺いして配布のための協力要請をします。毎年どこに配布すればたくさんの方に来ていただけるかを考えるのが渉外広報係の腕の見せ所。もちろん、配布先が多ければ多いほどいいのはたしかなのですが、予算が許してくれません。費用対効果を考えた広報活動が求められます。

関係機関(写真は広島県)への協力要請(広島・2019年度) 

 

オープンハウスの前日には職員全員で準備に取り掛かります。日頃から運動不足の職員も、この日ばかりは汗を流して体を動かします。でも、平均年齢が51歳となる放影研職員、怪我と脱水には要注意です。

正面玄関の準備(広島:2016年度)

研究部門の展示の準備(広島:2018年度)

 

設営が終わると内覧会を開催し、職員もしっかり勉強しておきます。

疫学部の展示パネルで研究員の説明を受ける職員(広島・2014年度)

 

最後に、今年の広島・長崎の実行委員長から意気込みを語ってもらいます。

広島実行委員長 早川直博

こんにちは。実行委員長の早川です。広島オープンハウスは今年で開催25周年を迎えました。この5月には成から令へと、新たな時代を迎えましたが、職員として恒久平和を願う気持ちに変わりはありません。この機会に、“未来へ向かう放影研”の全体像について、“やすらぎと平和”を感じながら、見て、知って、理解を深めていただければ幸いです。ご来場、心よりお待ちしております

長崎実行委員長 田﨑浩佐

長崎のオープンハウスは広島より少し規模が小さいのですが、放射線の影響についてのことや、放影研の調査研究のこと、また、がんについてなど、より分かり易い説明ができるように準備を頑張っています。ぜひ皆さんお誘い合わせてご来所ください。

 

(編集者より)

「オープンハウス」という名前、今でも職員の中には違和感を持つ人が時々います。新築の戸建ての見学会を連想させるからです。たしかに街のあちこちで、家の見学会の案内としてこの名前を見かけます。過去には一般の方から、「放影研は不動産事業に手を出したのか?」という質問を頂いたこともありました。ですが、英語では、施設公開イベントのことをふつう、オープンハウスと呼ぶそうです。日本語と英語で名称をそろえるときに出来るだけ呼びやすいようにしたためでしょうか、結局25年間もこの名前を使い続けてきました。リピーターとして来場くださる方にもこの名前が定着しているようです。