寿命調査(LSS)

寿命調査(LSS)は、疫学(集団および症例対照)調査に基づいて生涯にわたる健康影響を調査する研究プログラムで、原爆放射線が死因やがん発生に与える長期的影響の調査を主な目的としています。1950年の国勢調査で広島・長崎に住んでいたことが確認された人の中から選ばれた約94,000人の被爆者と、約27,000人の非被爆者から成る約12万人の対象者を、その時点から追跡調査しています。

LSS対象者にはまず被爆状況について面接調査を行い、その後、質問票による郵便調査で連絡を取っています。その調査により、生活習慣など、疾病発生と死亡に関連する放射線被曝以外の因子に関するデータが得られています。この集団に基づいて、放射線やその他の因子に関連するがん発生率や死因の調査を行うことができます。

LSS集団から得られたデータの定期的解析が、死亡率(がんやその他の原因による死亡)やがん罹患率(発生率)に関する一連の報告書の基盤となっています。この集団はまた、症例対照調査を通じてしばしば行われる、部位別がんのより詳細な調査の基盤にもなっています。このような調査では、放射線に関連するがんの発生メカニズムやその他の因子の影響の程度について更に解明を進めるため、被爆者のがんの病理組織の分子的解析を行っています。

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