原爆放射線量推定

放射線被曝の結果である健康リスクを正確に推定するためには、原爆被爆者個人が受けた放射線量の信頼できる推定値を得ることが重要です。
原爆から放出された放射線の量とそのうちどの程度の量が特定の地点に達したかについては不確実性があり、また原爆被爆者個人の被爆地点および遮蔽の程度についても不確定要素があるので、線量推定(線量の評価)は、原爆から発生する放射線の性質がより深く理解され、そして被爆者個人について得られる情報の質が向上するにつれて今後も引き続き改善されていくと思われます。

放射線量の基本的推定値を求める作業、および被爆者個人にこれらの推定値を適用するための一般的手法は、日本や欧米の研究者との国際的共同作業によって開発され、この作業は日米の専門家で構成される専門家グループの承認を受けています。放影研の研究員は基本的な線量推定方式の開発に携わりますが、その主たる職務は放影研でこの方式を実施し、それを用いて個人線量推定値を計算し、これら推定値の不確実要素の大きさおよび性質をより深く理解し、原爆放射線量推定値を一層精密かつ正確にする作業に協力することです。過去半世紀にわたり放影研職員が収集した被爆地点および遮蔽に関する広範かつ詳細な情報は線量推定に極めて重要です。 現在の線量推定方式は 2002年に導入されたもので、DS02 と呼ばれています。

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