腫瘍促進遺伝子を活性化するもの

腫瘍を促進する遺伝子。何がそれを活動させ始めるのか。

ニワトリやマウスに腫瘍をつくる能力のあるウイルスの研究から、前がん細胞をがん細胞へと変える決定的な遺伝子の存在が分かってきました。これはがん遺伝子(oncogene)と呼ばれています。その後の研究により、それらは宿主細胞遺伝子(がん原遺伝子)の突然変異型であることが明らかになりました。そのようながん原遺伝子には様々なものがありますが、それらすべては細胞内で秩序正しく統制されており、細胞が正常に機能するために必要なものです。しかし、実験で分かっているように、電離放射線はこれら遺伝子の機能を変えることができるのです。一つの注目される機序は、電離放射線により遺伝子が切断されることです。切断されたがん原遺伝子は、何らかの方法で別の遺伝子と再結合します。この結合が特別な場所で起こると、がん原遺伝子を活性化し、がん遺伝子へと変化させることができます。つまりスイッチが入れられ、「消す」という信号に反応しなくなるのです。がん原遺伝子は通常は細胞の増殖に関係があります。ですから「スイッチを入れる」という信号は、例えば、細胞に増殖をするよう命令することになります。そして「消す」の信号がなければ、細胞は増殖し続けることになります。

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