被爆者における後影響

被爆後数年から現在まで

急性放射線症は、細胞死により、直接的な組織損傷を引き起こし得るほどの高い線量(1 Gy以上)によって生じました。対照的に、がん(恐らく他の疾患も)のような後影響は、生き残った細胞内に放射線被曝によって誘発されたDNA突然変異の結果だと言えます。そのような突然変異によってがんが生じる機序は明確には分かっていませんが、発がんには多段階の突然変異が発生し、何年もの期間をかけて蓄積する過程が必要だと考えられています。突然変異は、自然に、または放射線を含む多くの環境変異原に曝露した結果として発生し得るものです。ある細胞とその子孫が、臨床的に明瞭な疾患に至るに十分な突然変異を蓄積するためには多くの年数が必要となるので、放射線に起因する過剰がん例数は、被曝後何年か経つまで(白血病の場合の年数は幾分少ないのですが)はっきりとは分かりません。放影研データの過剰がんリスクは、このような仮説に基づく考察から予想される年齢-時間パターンとおおむね一致しています。


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