成長・発育への影響

ABCC-放影研では、若年被爆者の成長の指標として身体測定(身長、体重、胸囲など)が長年にわたって行われてきた。調査の結果、幼時期の原爆放射線被曝により成長遅滞を生じることが明らかになっている。図(左)は胎内被爆の場合で、被曝線量が1Gy未満の群では影響は明確ではないが、1Gy以上の群では成人時の身長に約6cmの減少が見られる(1Gy当たりでは約2.5cm)。10歳の時点で既に影響が見られるが、その後の思春期の身長の伸びには影響していない。図(右)は、被爆した時の年齢が異なる場合の影響を示すもので、20歳を超えた時点の最初の測定値を用いている。男性よりも女性の方に影響が強かったようである。女性の初潮年齢に関する調査も行われたが、放射線の影響は認められなかった。しかし最近のデータからは、放射線被曝により閉経が早まる可能性が示唆されている。

 

図. 放射線の成長に及ぼす影響。左図は、胎内被爆者の場合の10歳から18歳における測定結果を示す。 縦軸は身長、横軸は測定時の年齢。実線は放射線量0mGyの比較対照群、破線は1-999mGy群、点線は1,000mGy以上の群(DS86子宮線量)。右図は、被爆時年齢別に1Gy被曝の影響を示す。
縦軸は1Gy当たりの身長への影響(単位はcm)、横軸は被爆した時の年齢。丸印は女性、四角印は男性。縦線は各被爆時年齢における95%信頼区間。
破線は回帰直線の95%信頼区間を示す。

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