加齢に及ぼす影響
動物を用いた実験から、放射線を照射されると寿命が短くなることが分かっている。この観察結果は、かつては放射線による非特異的な加齢現象の促進によるものとの考えもあったが、その後の研究から、寿命短縮のほとんどは腫瘍発生によるものと考えられるようになった。
原爆被爆者における非特異的な加齢促進を示す証拠は、多くの生理学的指標や形態学的影響においても、ほとんど認められていない(例えば、放射線量は、肺活量、眼の調節力、皮膚の弾力性、握力、聴力、あるいは病理解剖時の組織差などには関連がない)。しかし、白内障およびアテローム性動脈硬化の有病率や、免疫に関連した血液中の炎症性蛋白質レベルの変化については、放射線に関連した増加が見られている。放射線被曝が非特異的加齢を引き起こすかどうかを明らかにするため、今後も継続した情報収集が必要である。