良性腫瘍

悪性でない腫瘍(良性腫瘍)に対する原爆放射線の影響は、ほとんどの情報が成人健康調査(AHS)から得られている。甲状腺、副甲状腺、唾液腺および子宮の良性腫瘍、ならびに胃のポリープについて調査が行われている。いずれの場合にも放射線量との関係が認められた。これとは対照的に、良性の卵巣腫瘍の病理学的調査では、性索間質腫瘍に放射線の影響が若干認められたが、それ以外には影響は見られなかった。子宮の良性腫瘍において明らかな線量反応関係を図1に示す。被曝線量が1 Gyの場合の相対リスクは1.5(95%信頼区間 1.27-1.70)である。

 

 

図1. 子宮筋腫の相対リスク(線量別)、AHS、1958-1998年。
点線は95%信頼限界を示す。

図2には成人健康調査における副甲状腺機能亢進症(主に良性副甲状腺腫瘍による)の有病率データと放射線被曝および被爆時年齢との関係を示す。組織線量1 Gy当たりの全症例を合わせた有病率は、対照群と比較して4倍(95%信頼区間1.7-14.0)になっている。有病率の増加は、特に若年被爆者において顕著であった。

 

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