臨床研究部

臨床研究部は、ニつの主要な調査「成人健康調査」および「被爆二世に対する臨床健康診断調査」を行っています。

成人健康調査集団は、寿命調査対象者の中から選ばれた 約20,000人から成る副次集団で、2年ごとの健康診断を行っています。この調査は1958年に開始されました。1977年以後、寿命調査対象者約2,400人と胎内被爆者約1,000人が、成人健康調査の対象者として追加されています。

成人健康調査の一般検査項目は、理学的検査、心電図、胸部X線、腹部超音波検査、末梢血検査、血液生化学検査、尿検査および検便です。これらの検査によって収集されたデータを用い、健康状態についての長期にわたる追跡調査が行われ、各種疾患の発生率や有病率、生理・生化学的検査結果の変動について観察することができます。

成人健康調査では、受診者一人一人の医療歴(罹患、治療、検査など)、生活様式(運動、栄養、喫煙など)に関する情報も集められていますので、放射線被曝の影響を検討する際、これらの要因も考慮に入れて評価することができます。一般検査以外に、骨密度測定や婦人科診察などの特殊検査も実施しています。受診結果は、その都度受診者個人宛に通知していますが、それだけでなく、血圧の測定値などの長期間にわたる変動についてもお知らせしており、被爆者の健康管理に役立っています。

本調査で得られた結果は、他の疫学研究の分野でも重要な意味を持っています。例えば、Ni-Hon-San(Nippon-Honolulu-San Francisco)心臓血管疾患調査では、成人健康調査対象者とホノルルおよびサンフランシスコに住む日系人との比較が行われ、環境の違い、食習慣、あるいは生活様式の違いが心臓血管疾患の発生・死亡にどのような影響を与えるかについて研究が行われています。放射線障害の解明に関する多くの基礎的研究が、成人健康調査の下で、他の研究部門と協力して行われています。

被爆二世健康影響調査 は、疫学部で実施している郵便調査と臨床研究部で実施している臨床健康診断調査から成り立っています。臨床研究部では、郵便調査で健康診断の受診を希望した方、約12,000人を対象として、2002年から4年間かけて被爆二世の方の健康診断を行いました。

臨床健康診断調査の健診項目は、問診、診察、身体計測、血圧測定、尿検査、血液検査、便検査、心電図、胸部X線、腹部超音波検査、甲状腺超音波検査、ヘリコバクター・ピロリ菌検査、血清ペプシノーゲン、骨粗鬆症検査などです。

これらの検査で収集されたデータを用い、成壮年期に多く発症する生活習慣病(高血圧症、糖尿病、心臓病、がんなど)が被爆二世の方にどのくらいの頻度で見られるかを調査し、親の原爆放射線被曝が子供の健康状態に及ぼす影響を疫学的に検討します。更に、健康診断や栄養指導などを通じて、被爆二世の方の健康と福祉に貢献しています。

研究員と研究課題

  • 広島研究所
    大石 和佳 (部長)

    原爆被爆者の疾患リスクに関する臨床調査
    肝疾患の進展に関連するリスク因子
    被爆二世臨床縦断調査

    立川 佳美 (副部長)

    糖代謝・脂質代謝に関する研究
    胎内被爆者への放射線被曝影響

    山田 美智子

    原爆放射線被曝のがん以外の疾患に対する影響
    加齢に関する疫学研究
    認知症の疫学研究

    吉田 稚明

    原爆被爆者の造血器腫瘍発症に関する研究

    栗栖 智

    心血管疾患の臨床・疫学研究

    喜多村 紘子 (来所研究員)

    東電福島第一原発緊急作業従事者に対する疫学的研究
    労働強度の評価に関する研究

  • 長崎研究所
    飛田 あゆみ (部長)

    原爆被爆者の疾患リスクに関する臨床調査
    リウマチ性疾患の疫学
    放射線と眼科疾患

    今泉 美彩 (副部長)

    甲状腺疾患の臨床・疫学研究

    中溝 知樹

    循環器疾患の臨床・疫学研究

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