研究計画書 1-22

原爆被爆者における放射線被曝と心筋梗塞発生率の関連についての検討

要約

虚血性心疾患は世界の死亡の第 1 位の原因疾患であり、中でも心筋梗塞はその多くを占める重要な疾患である。胸部へ放射線治療を受けた患者では心筋梗塞を含む冠動脈イベント が増加することが知られているが、より低線量の放射線被曝によって心筋梗塞が増加するという十分なエビデンスはない。原爆被爆者において過去に行われた研究では、被曝線量と心筋 梗塞の死亡ならびに発生に有意な関連は認めなかったが、40 歳未満で被爆した若い集団に 限ってみると、心筋梗塞の発生に 2 次関数の線量反応を示した。しかし、これらの知見には診 断の正確性に関してあいまいな点が残っている。本研究では、放影研で定期的な成人健康診 断を受けている原爆被爆者においてチャートレビューを行い、一定の診断基準に基づき診断 を行うことによりその正確性を担保し、放射線被曝と心筋梗塞との関連を解析する。

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